キイロスズメバチとは?巣の見分け方や駆除方法を詳しく紹介
キイロスズメバチは、数あるスズメバチ類のなかでもとくに気をつけなければいけない存在です。
今回は、キイロスズメバチの生態の特徴や危険性の高さ、巣の特徴などについてご説明します。また巣を駆除するためにはどんなポイントに気をつければいいのか、巣を見つけてしまった場合はどのような点に注意すればいいのかなどについても併せて解説します。
目次
知っておこう、キイロスズメバチの生態・危険性・巣の特徴
スズメバチにはいくつかの種類がありますが、キイロスズメバチはそのなかでも、名前のとおり黄色い部分の発色が目立つスズメバチです。
そんなキイロスズメバチについて、まずは生態の特徴や危険性、巣の特徴についてご説明しましょう。
キイロスズメバチは肉食のハチで活動期間が長い
キイロスズメバチはほかのスズメバチと同様に、基本的に肉食であるというのが生態の大きな特徴のひとつです。
働きバチはハエやバッタ、セミなどの昆虫を捕まえて肉団子状態にしたものを幼虫に与え、幼虫は働きバチにたんぱく質豊富な液を与えます。
幼虫が育っておらず幼虫から液をもらえない状態のうちは、働きバチは一時的に歯なの蜜などを食することもありますが、基本はあくまで肉食です。
キイロスズメバチの生態の大きな特徴としてはもうひとつ、ハチのなかでもとくに活動期間が長いというのも挙げられます。
アシナガバチの活動期間が4~9月頃、オオスズメバチやヒメスズメバチの活動期間が4~10月頃であるのに対して、キイロスズメバチの活動期間は3~11月頃と、非常に長い活動期間となっています。
キイロスズメバチの危険性はスズメバチのなかでもかなり高い
キイロスズメバチはスズメバチのなかではかなり小型の部類で、その大きさ自体はアシナガバチとほぼ同じくらいです。縞模様の色もアシナガバチと似ているため、見た目だけの印象では「アシナガバチと危険度は大差ないのでは」と思ってしまいそうな姿をしています。
しかし、油断してはいけません。キイロスズメバチの危険度は、けっしてアシナガバチと同等などというものではなく、それどころか数あるスズメバチのなかでもかなり危険性が高い部類に入る存在です。
スズメバチのなかでもっとも危険性が高いのは毒の量および攻撃力ともにナンバーワンを誇るオオスズメバチですが、キイロスズメバチは毒の量がオオスズメバチの次に多く、攻撃力もオオスズメバチ・ツマアカスズメバチに次ぐレベルとなっており、総合的な危険度としてはオオスズメバチの次に位置する存在となります。
しかもキイロスズメバチは都市部に巣を作ることが多く、しかもその巣が大きく働きバチの数も非常に多いという特徴があり、この点を考えても非常に危険な存在です。
キイロスズメバチの巣は短期間で大きくなる
スズメバチの巣といえばボール状の形というのが一般的で、キイロスズメバチの巣も例外ではなくボール状の形をしています。
そんななかでもキイロスズメバチの巣ならではの特徴として挙げられるのは、短期間で巣が非常に大きくなることです。
キイロスズメバチは働きバチの数が多いため、巣作りに集中するとあれよあれよという間に巣が大きくなり、やがてはスズメバチ類のなかで最大級の大きさを誇るまだら模様の巣を作りあげてしまいます。
キイロスズメバチの巣を駆除するための5つのポイント
キイロスズメバチの巣は、巣の大きさが10cm以下であるなど小さいうちなら自分で駆除できる可能性もありますが、たとえ巣が小さくとも、駆除の際にはその準備に万全を期す必要があります。
自力での駆除による成功率を高めるためにも、これから挙げる5つのポイントを守りましょう。
1.防護服を用意しよう
アシナガバチの巣などの駆除であれば厚手の服やマフラー・帽子などで身を守ればそれだけでかなりリスクは軽減できますが、攻撃性が非常に高いキイロスズメバチの駆除となると、その装備では不十分です。
キイロスズメバチの巣を駆除する場合は、防護服をきちんと用意することが強く望まれます。
ただ、自費で防護服を購入するとなると結構な費用がかかってしまいますので、まずは自治体に防護服の貸し出しをしていないかどうか問い合わせてみるといいでしょう。無料でハチの巣駆除のための防護服貸し出しをしてくれる自治体は数多くありますので、聞いてみる価値はあります。
それでも防護服が用意できない場合は、厚手の服を重ね着して、さらに帽子ではなくヘルメットで頭部を守り、首にもタオルあるいはマフラーを厚めに巻いて顔はフェイスガードをし、それでも露出した部分はネットなどで守るなど、できるだけ万全の対応を心がけましょう。
2.長靴や手袋の用意も必須
キイロスズメバチに刺されるリスクを徹底的に低減するためには長靴や手袋の用意も必須です。
手袋は厚手の革手袋または軍手を数枚重ねたものを使うといいでしょう。
3.殺虫剤はピレスロイド系のジェット噴射できるものを2本以上用意しよう
キイロスズメバチを駆除する際には、殺虫剤選びも重要なポイントとなります。
まず、薬剤をかけてすぐにキイロスズメバチを無力化できるよう、薬剤成分を見る必要があります。
キイロスズメバチに有効性が高いのは、麻痺の効果が高いピレスロイド系の殺虫成分です。
ピレスロイド系の殺虫成分は数多くありますが、フタルスリン・レスメトリン・モンフルオロトリン・ビフェントリンなど、基本的に成分名が「○○リン」となっているという特徴があります。
また、殺虫剤の商品そのものにも、ピレスロイド系成分を使っている場合は成分表記部分やや使用上の注意表記部分など、どこかにピレスロイドの表記があります。
そして殺虫剤選びのもうひとつの大きなポイントとして挙げられるのが、遠くまでジェット噴射できるものを選ぶということです。
キイロスズメバチは飛行スピードがあり攻撃性も非常に高いため、殺虫剤を噴射する際も巣のギリギリ近くまで近づくのは危険です。最低でも3m以上は離れた場所から噴射することが望ましいので、できるかぎり強力な噴射能力を持つジェットタイプのものを選びましょう。
あと、殺虫剤は1本だけだと駆除の途中で薬剤がなくなってしまうリスクが非常に高いので、最低でも2本は用意しておく必要があります。
4.ほうき・ちりとり・ゴミ袋も用意しよう
キイロスズメバチは殺すことができればそれで安心、というわけではありません。
キイロスズメバチはたとえ死んでいたとしても、うかつにその死骸の腹部を触るようなことをすると反射的に毒針を出して刺してきます。
だからこそ、殺虫剤でキイロスズメバチを全滅させることができたとしても、その死骸を放置しておくと踏んだ時に靴底が浅い靴だと刺されてしまうリスクがありますし、死骸を片づけるにしても、指でつまんで拾うようなことは絶対にしてはいけないということです。
ほうきとちりとり、ゴミ袋をきちんと用意し、キイロスズメバチの死骸と巣はほうきとちりとりで残らずかき集めてゴミ袋に入れ、巣もゴミ袋に入れましょう。
死骸や巣をゴミ袋に入れたら念のためにゴミ袋の中にも殺虫剤を噴射したうえで袋の口を固く結び、あとはその袋の結び目から上以外は触らないようにして持ち運びましょう。
5.駆除は夜間に、赤色セロハンを貼った懐中電灯を使って巣に近づこう
キイロスズメバチは、日中は活発に活動していますので素人による日中の駆除は非常に危険です。
「まだ巣は小さいし、ハチの数もこの程度なら日中でも大丈夫だろう」と甘く考えて日中に駆除を仕掛けると、その時点で巣にいるハチは退治できても、巣に戻ってきたハチに刺されてしまうというケースは少なくありません。
キイロスズメバチは危機を察知すると警報フェロモンを出して仲間を呼ぶため、巣から離れていた仲間が駆除の途中で戻ってくる可能性は意外と高いのです。
キイロスズメバチの駆除は、働きバチが活動を終えて巣の中で休む夜間におこないましょう。日没の時点でほとんどのキイロスズメバチが巣に戻りますが、安全を重視するならさらにもう少し遅い時間のほうがおすすめです。
ただ、夜間に巣に近づくには明かりが必要となり、懐中電灯をそのまま照らすとキイロスズメバチがその光を察知して襲ってくる可能性がありますので注意が必要です
ハチが光を認識するリスクを下げるためには、懐中電灯の点灯部分に、ハチが認識しにくい色として知られる赤色のセロハンをかぶせておくことを強くおすすめします。
キイロスズメバチの巣を見つけたときの3つの注意点
キイロスズメバチの巣を見つけたときには、
1.キイロスズメバチの刺激になるようなことはしない
2.駆除できそうなサイズかどうかを見きわめる
3.巣が殺虫剤を遠くからかけられそうな場所にあるかどうかを見きわめる
という3つの注意点を心がける必要があります。
1.巣を見つけてもけっして騒がず静かにしよう
キイロスズメバチの巣は大きく存在感があるため、巣を見つけてしまったラ叫んでしまいそうになりますが、声を出したり急いで逃げようと走ったりするなど、キイロスズメバチ刺激するようなことをしてはいけません。刺激してしまうとフェロモンで仲間を呼ばれ、多数のキイロスズメバチに攻撃されてしまうという最悪の事態もありえます。
声を立てず、巣を離れる時も落ち着いて静かにゆっくりと離れ、できるだけキイロスズメバチに警戒心を持たせないようにすることを心がけましょう。
ただし、活動時期ではない12月から春先ぐらいまでなら、越冬できない働きバチは全滅、女王バチも巣とは別の場所にいるという状態で巣は空っぽなので、この時期なら巣を見つけて叫んでしまったりしても大丈夫です。
2.巣の大きさを見きわめよう
キイロスズメバチの巣の駆除は、活動時期ではない12月から春先ぐらいまでなら巣は空っぽなので、大きな巣であろうと駆除することは可能です。
しかし、春から秋にかけてのキイロスズメバチの活動時期に入った場合は、10cmを超えた大きさの巣を素人が駆除・撤去しようとするのは非常に危険がともないますのでおすすめできません。巣に生息する働きバチの数は巣の大きさに比例するため、10cmを超えて大きくなればなるほど、素人の手にはおえないレベルの危険度となっていくのです。
キイロスズメバチの活動時期に巣を見つけてしまった場合は、その大きさが10cmまでの大きさでおさまっているかどうかを見きわめましょう。
3.風上から殺虫剤がかけられそうな場所に巣があるかも見ておこう
キイロスズメバチの活動時期に巣を見つけたが、まだ大きさは10cmもなさそうだと判断できた場合は、殺虫剤がかけやすい場所に巣があるかどうか、という点も見ておきましょう。
たとえ小さな巣でも、キイロスズメバチの攻撃性は高いので殺虫剤の噴射はなるべく離れたところからやりたいものです。
風上から殺虫剤がかけることができるような場所であれば、殺虫剤噴射の際の距離を大きくとることができるので危険性を低減することができます。
キイロスズメバチの巣の駆除は専門業者への依頼がおすすめ
キイロスズメバチの巣は、キイロスズメバチの活動時期以外の時期や、活動時期でもまだ巣の大きさが小さいうちなら自力での駆除も可能ですが、巣がすでにある程度の大きさになってしまっている場合は、巣はまだ小さいがキイロスズメバチが周りを飛んでいるのを見ると怖い、などと感じる場合は無理せずハチの巣駆除の専門業者に駆除を依頼しましょう。
専門業者であれば駆除のための用具もノウハウも揃っていますので、素人がやるよりもずっと安全確実に駆除をすることが可能となります。
【まとめ】
まとめ
キイロスズメバチはアシナガバチと似たような見た目をしていますが非常に攻撃性が高いうえに毒の量も多く、数あるスズメバチのなかでもオオスズメバチに次ぐ危険性を持つ存在です。
そんなキイロスズメバチの巣の駆除を考える場合は、まずは巣が自力で駆除できるサイズかどうか、駆除しやすい場所にあるかどうか、そしてここで挙げた5つのポイントを守って駆除できるか、それを確認しましょう。
ひとつでも「難しい」と感じるものがあった場合はけっして無理をせず、ハチの巣駆除の専門業者に依頼することを強くおすすめします。