オオスズメバチとどう付き合えばいいのか

オオスズメバチとどう付き合えばいいのか

オオスズメバチの一生

1.オオスズメバチの一生について

春になり冬眠していた女王バチが運よく目覚めることができると、たった一匹で食糧の確保から巣作りを行います。巣は樹皮をかじって取り、それを唾液と混ぜ作ります。そして、卵を産みます。産んだ卵が成虫に育ち、働きバチとして食糧の確保と巣作りを始めるまでの間は、女王バチ1匹で、すべての作業をこなしていきます。
という事は、女王バチは春から初夏の間、食糧調達・巣作りの材料集めとして、樹液や花の蜜集め、幼虫の食糧集めを行うために常に外を飛び回る生活を行います。一方、初夏からは幼虫から育ったハチたちが食糧集めから巣作りまで行うようになる為、女王バチは産卵に専念し外に出ることはなくなります。今まで女王バチ1匹でこなして来た仕事を働きバチが行うようになると巣は一気に巨大化し、群れの勢いも強くなりハチの数も数千匹と一気に増え始めます。その為、オオスズメバチがミツバチを襲い始めるのもこの時期となります。

9月中旬から10月下旬にかけ雄バチと数百匹の新女王バチは羽化をはじめ、交尾を終えた新女王バチは冬眠を開始。その一方、役目を終えた雄バチと働きバチは越冬することなく死んでしまいます。オオスズメバチやアシナガバチなどのミツバチ以外の群れは越冬する事はなく、1年限りのもの。その為、冬になると群れは全滅します。
また、オオスズメバチの女王バチは越冬するものの、その越冬生活は非常に厳しいものとなります。その為、多くの女王バチは冬眠中にモグラなどに食べられてしまいます。その結果、最終的に春を迎えることができるのは数匹程度となり、大量に生まれたオオスズメバチの女王バチも冬眠中、他の生き物の食料となるという生態系に寄与していることとなります。

2.とても危険なオオスズメバチについて

個人差はあるものの、ハチに刺されると痛いことは確かです。それは、どのハチに刺されても同じことです。二ホンミツバチの場合、刺されると比較的痛さは軽く済み、腫れも軽く済みます。感覚的には「少し痛い!」といった程度で済むほどです。それに対し、セイヨウバチに刺された場合、痛みは強く、腫れも二ホンミツバチに比べひどくなります。「刺された!痛い!」といった感じです。アシナガバチは、これらに比べ、非常に痛みが強く、腫れも大きく腫れあがるといったものとなります。その為、多くの人は市販の薬を使用し、腫れがひどい場合は、病院に行く人もいます。
これらに比べ、別格だと言えるのがオオスズメバチです。オオスズメバチに刺された人の話では、「刺された際、痛いというよりも、ハンマーで頭部を殴られたような衝撃と呼吸困難になり、心臓のバクバクが止まらず、もしかしたら、このまま、死んでしまうのではないか。」とまで思ったそうです。その為、多くの人は病院に駆け込み、治療を受けることとなります。また、救急車で搬送される人も少なくありません。
ハチに刺される被害は年間数千件と言われているものの、これは病院を受診した人の人数となります。その為、スズメバチやミツバチ、アシナガバチに刺され自分で市販の薬を塗って処置した人などは含まれず、実際は、もっと多くの人が被害にあっていると考えられます。
しかし、どんなハチに刺されても、時々アナフィラキシーショックというアレルギーが出る場合もあります。症状としては、冷や汗・手足のしびれ・蕁麻疹などの症状が出た後、血圧が急低下し呼吸困難に陥り、意識を失うものとなります。これらの進行は非常に早く、重症の場合、手遅れになり死に至ることもあります。実際、厚生労働省の資料によると蜂毒によるアナフィラキシーショックにより日本では年間20人前後の死者が出ていることがわかっています。

日本における三大危険生物は、クマ・マムシ・オオスズメバチです。
クマには、年間400人ほどの人が襲われ、1980年から2006年の27年間で環境省の資料によると死者は28人となっています。一見、危険と言われる割に死者が少ないように感じますが、クマの場合、ハチに比べ圧倒的に個体数が少なく、人と遭遇する確率は少なくなっていること。また、ハチやマムシなどの毒とは違って、被害者の多くが噛みつかれたり爪で引き裂かれたりと致命傷までには至らない事が多いことが、死者が少ない理由となっています。
マムシには、年間3000人ほどの人がかまれ、10人ほどの人が亡くなっています。ハブに比べると体が小さいマムシ。その為、毒液の量が少なく、その多くが出血毒の為、神経毒に比べ致死率が低くなっています。その為、病院に駆け込み一命をとりとめる人が多くなっています。とは言っても、例え命が助かったとしても、毒によって筋肉が壊疽し、手足を切断する人も多くいます。
ちなみに2015年の交通事故件数は年間536,789件。そのうち、負傷者は665,126人です。死者は4,113人となり、この結果を見ると自然界の生き物に比べ、やはり、交通事故の方が危険だということがわかってきます。
ハチに刺された場合は、すぐに手当てを行う事で被害を軽くすることが可能です。その為、どんなハチに刺されたとしても、「まず、病院に行く。」という事を徹底する事が大切です。また、蜂場の見学や採蜜体験などに参加する時は、ポイズンリムーバ(毒液吸引器)を持参してください。万が一、ハチに刺されても、すぐに患部から毒液を吸い取る事で、かなり症状を抑えることが可能です。また、もし可能であれば、エピペン(ショックを防ぐ効果のあるアドレナリン注射)も持参すると安心です。

3.ハチはむやみに刺すわけではありません!

ニュースで時々、ハチの巣がある事に気付かず近づいてしまい、集団でハチに刺されたと目にすることがありますが、これは、人間が勝手にスズメバチの生活圏内に無断で侵入したために起こるものとなります。スズメバチは幼虫や蛹がたくさんある大切な巣を守る為に攻撃してきたのです。その為、そんな大切な場所に侵入した人間のほうに責任があると言えるのです。また、スズメバチは巣に近づいてきた人をすぐ刺すのではなく、必ず数匹で威嚇してきます。それに気づかない為、結果的に刺されてしまうのです。
ミツバチを襲いに来たスズメバチを捕まえようとした結果、何度も失敗し刺される人が時々います。この場合、ハチミツや焼酎漬けにするため、生け捕りを試みてビンに入れようとし失敗。その結果、刺されるといった人が圧倒的に多いようです。この場合、スズメバチが恐怖を感じ攻撃するのは当たり前のことです。

例えば、キノコ狩りなどで山に入り、夢中になってしまい知らない間にスズメバチの巣に近づいてしまったとします。その際、数匹のスズメバチに大きな羽の音で威嚇され100m以上追いかけられたとしても、刺されることがないということがあります。この場合、キノコを探すため、ゆっくりと歩いていた結果、巣に近づきすぎる前にスズメバチが気付き威嚇してきた為だと考えられます。巣に近づくなというスズメバチからの警告だったのです。

一方、遠足など集団で歩いていて、知らない間にスズメバチの巣に近づいてしまい、また、にぎやかに話をしている結果、スズメバチの威嚇に気付かず、巣に接近してしまうことがあります。この場合、スズメバチは巣に危険が迫っていると判断し巣を守る為に総攻撃し、その結果、多くの人がスズメバチに刺されることとなります。もしくは、初めスズメバチが警告で威嚇した際に「怖い!」と手で払ってしまった結果、スズメバチは人間に攻撃されたと判断し反撃を開始。その結果、刺されるということもあります。その為、羽の音を聞いたら、出来るだけ静かに、そして、素早く、その場を離れる事が大切になります。
ミツバチの巣を襲うスズメバチの場合、巣を襲っている際は、食糧の確保に夢中になっている為、多少の事があっても刺してくる事はありません。実際、オオスズメバチの巣の調査を行うため、何度もオオスズメバチを捕まえ目印を付けても、放した瞬間はこちらに向かい威嚇してくるものの、威嚇だけで刺すような事ことありません。また、オオスズメバチをおびき寄せる際、ミツバチの巣箱から8mほど離れた場所に観察用の餌場を作り観察していた際も、そこから威嚇された事はあっても刺される事はなかったということです。

4.ハチが刺すときは、どんな時なのか?

ミツバチが人を刺すという時は、死を覚悟し自分と自分の家族を守る為に攻撃してきます。もしかすると、刺すと死んでしまうということを知らずに刺してくるのかもしれませんが、ミツバチの場合、針にギザギザの返しがたくさん付いています。その為、人を刺した後、抜きづらく、もがいた結果、針が毒腺や内臓ごと体から引きちぎれてしまい死んでしまいます。しかも、刺さったままの毒腺からは毒液が流れ続けます。その為、刺さった針は、早めに抜くことで被害を軽く済ませる事ができます。また、その時、警告フェロモンが放出されるため、次から次へと刺されてしまう事も…。その結果、ひどいときには、数十匹にも刺されてしまうということがあります。また、ミツバチをつかんだり、巣箱をたたいたりすると刺されてしまう為、注意が必要です。

スズメバチやアシナガバチが人を刺すときは、自分と自分の家族を守るためとなります。ミツバチのように人間を刺す事で、自分の命が奪われる事はありませんが、それでも、自分よりもはるかに大きな人間を刺すのですから、きっと死を覚悟するほどの決意のことだと想像することができます。その証拠として、スズメバチやアシナガバチは、何度が威嚇した後に刺してきます。その威嚇行為に気付くことができなかった場合のみ、刺されてしまいひどい目にあってしまうのです。その為、極端に巣に近づくほか、ハチを追いかけ、殺そうとした場合は、痛い目に合うと言えるのです。
以前、テレビでスズメバチを退治することが英雄行為であるといったような放送がされた事があります。「どんなハチでも絶対に先制攻撃を行うことはなく、最も毒の強いオオスズメバチでも、刺す前に通常3回程度の警告行為を行います。遠足などで生徒たちがハチに刺され問題になることがありますが、それは学校がハチについての教育をしっかり行っていない結果から起こることである。」と専門家は言っています。

街中で日常、暮らしていると危険な生物に出会うことは少なく、安全な生活に麻痺してしまう傾向があります。その結果、ハイキングなどで街を離れると危険管理ができなくなってしまうのです。
ハイキングなどで山や森に行けば、ハチやムカデが居ることは当たり前です。もっと山奥に行けば、クマもいます。その為、自然の中に行く際は、様々な生物の生態を勉強し、注意して行動することが重要になってくるのです。
人間は大きな勢力を持って他の生物のテリトリーに深く入り込んでいます。その結果、多くの障害が出てきているのです。もともと、彼らの生活圏だった場所に人間が入り込み、人間は自分たちに危険な生物がいるので殺せばいいと言っていると言えるのです。

オオスズメバチを防ぐためには?

いままでに工夫と考案されてきた防除法

夏以降、スズメバチは頻繁にミツバチを襲うようになります。その為、夏以降、養蜂家はとても大変で、悪戦苦闘しながら様々な方法を駆使し、防除を行います。「だから、春に捕ってしまえば秋には楽になる、大切なミツバチのことを思うとそんな悠長なことを言っていられない。」といつも養蜂家は言っています。
しかし、それが原因で生態系が崩壊しては大変です。どんな理由であれ、自然が壊れてしまってはどうしようもありません。生態系は、「自分だけは大丈夫。」「自分だけはいいだろう。
といった考えで破壊します。その為、どうにか夏以降の捕獲でしのいでもらうことができたらと思います。

ここで、今まで行われてきたオオスズメバチの対処方法をご紹介したいと思います。

①人力作戦

人力作戦には2つの方法があります。まず、1つ目がスズメバチをラケットでたたき殺す方法となります。しかし、この方法の場合、空振りした際、かなりの恐怖を感じる事になります。また、失敗を繰り返すと攻撃され刺される危険性もあります。その上、上手にたたき落とすことができたとしても、死んでいなければ復活され、仕返しされる危険性もある為、確実にとどめを刺す必要があります。
巣箱に止まっているときがベストのタイミングですが、巣箱をたたくことは出来ず、残念ながら、このチャンスを生かすことは出来ません。
一方、2つ目の深めの捕虫網で生け捕りにする方法は、さほど、恐怖を与えることなく、空振りしたとしても攻撃されることは少なくなっています。この方法は、巣箱に止まっている時でも捕ることができ、また、ラケットよりも多くのスズメバチを捕獲することが可能になります。網に入ったスズメバチは押さえつけ、ピンセットや割り箸でつまむことができます。つまんだスズメバチはハチミツ漬けや焼酎漬けにします。この場合、生きたままで漬け込むことになる為、慎重に作業を行わなければ、刺されてしまいます。
この方法だと、殺して捨てるということにはならず、申し訳ない気持ちも和らぎます。

②粘着シートの活用

市販のネズミやゴキブリ捕獲用の粘着シートを使ってスズメバチを捕獲することができます。方法としては、粘着シートを巣箱の近くに設置し、その際、ハチミツまたは発酵液やスズメバチを1匹捕って粘着シートに付けておきます。すると、それらにつられて集まりだし捕まえることができます。その際の注意としては、ミツバチも捕まってしまう可能性がある為、置く場所には注意することとなります。
この粘着シートを使った捕獲方法ですが、見た目が悪く扱いづらいことがデメリットとなります。その上、捕獲したものを食用にする事は出来ず、結果的にすべて処分することになってしまいます。

③手作りのペットボトル捕獲器の利用

材料費無料で作る事ができるスズメバチ捕獲用のペットボトル捕獲器。準備するものは、大きめのペットボトルのみとなります。大きめのペットボトルの上部側面を3方向、コの字になるように3㎝ほどカッターで切ります。切ったら、上に向け水平になるまで開き、誘引剤を100から200mlほど入れ、半日陰の木の枝にひもでぶら下げれば完成です。その際、子どもの手の届かない高さにしておくことが大切です。
一見、無料ででき、手軽に思えるこの方法ですが、この捕獲器の場合、大型昆虫も集まってしまうことがデメリットとなります。設置しても、スズメバチが入る前にクワガタやカブトムシが入って死んでしまうことも…。その結果、ペットボトルの中が虫でいっぱいになってしまうと死骸を足場にし、誘引剤だけ吸って、悠々と帰ってしまうことになります。その為、こまめにチェックし交換する必要があります。そして、もう一つは、集める必要のないスズメバチまで呼び寄せてしまうことです。最大のデメリットとしては、養蜂にまったく関係ない場所に仕掛け、春から初夏にかけスズメバチの女王バチを大量に捕獲し殺してしまうことです。その為、間違っても春から初夏にかけては、この捕獲器は仕掛けてはいけません。

④韓国製のスズメバチ捕獲器とは?

③と同じように巣箱に仕掛ける方法ではなく、ミツバチがいない場所に単独で仕掛けることになる韓国製スズメバチ捕獲器。作る手間はなく、何年も繰り返し使用することができるのですが、1基10,000円ほどと高額なものとなります。
危険なスズメバチを駆除するために作られた捕獲器ですが、誘引剤におびきよせられ多くのスズメバチを捕まえることができる為、使用方法を間違ってしまうとかなり大変なことになってしまう可能性があります。この捕獲器を使い、春から初夏にかけ出没する女王バチを標的にし、徹底的に捕まえてしまうといった方法がミツバチを飼っている人の間で広がっているようですが、このようなカスミ網のように使用する方法は禁止すべきではないかと思われます。

⑤一般的なスズメバチ捕獲器とは?

一般的な捕獲器は上下の箱が一体型となり、巣箱にビスを打ち付け針金で取り付けるものとなります。捕獲したスズメバチの死骸を取り出す際は、本体ごと取り外さなければいけません。その為、少し面倒になってしまい、結局、そのまま死骸を放置し不衛生になってしまうことが多くなります。
取り付けポジションの下限が巣門から3㎝と低くスズメバがよく入ってくれるのですが、その分、一緒にミツバチも入ってしまうことが難点です。

⑥長野式のスズメバチ捕獲器

巣箱にある「はちまき」と呼ばれる部分に取り付け金具を取り付けることで、ワンタッチで巣箱の取る付け・取り外しができるようになります。捕獲器の上下が分離し本体を取ることなく、捕獲したスズメバチの死骸が入っている上の部分のみを取り外し、死骸を外に出すことができることから、作業がとても簡単なものとなります。
最大の特長としては、捕獲器の下限になる取り付けポジションが巣門より7~8㎝上方になる為、ミツバチをあまり籠に入れずに済ませる事ができる点となります。ただし、下げた場合、スズメバチの捕獲率は上がる一方、ミツバチもかなり多く籠に入ってしまうのが難点です。
⑤と⑥の方法を教えて頂いた方は、捕獲器は暫定的なもので、ご本人自身、朝から巣箱の前に立ち、バトミントンのラケットでたたく方法がベストだと思っているようです。その方は若くて俊敏な人なので出来ることだと思いますが、ラケットでスズメバチを捕らえたときの感覚は、バトミントンそのものの快感だということです。
④⑤両方の捕獲器に共通して言えることは、スズメバチが入ったら、すぐにバーナーで焼き殺すことがポイントとなります。あまり長い時間、籠の中にスズメバチを放置するとスズメバチの羽の音で、ミツバチが怖がってしまい産卵率が落ちてしまうようです。
また、二ホンミツバチとセイヨウミツバチの両方を飼っている方は、一般的な捕獲器に加え、粘着テープを使用しています。以前は、巣箱すべてに捕獲器を取り付けていたということ。しかし、ほとんどのスズメバチはセイヨウミツバチの巣箱に行くということがわかり、それからは、二ホンミツバチの巣箱には取り付けていないそうです。
8月下旬から11月上旬までそれらを設置し、毎朝、取り外し水に漬けることで半日ぐらいは死ぬことはなく、気絶するだけということ。このような状態になると水に濡れたことで、へばりついてしまい、とても出しにくくなってしまいます。その為、不衛生となってしまうのですが、面倒なため、最後までそのままの状態にしておいた結果、中に50匹以上も溜まってしまったということです。
普段は捕獲器だけで問題なく対処することができますが、集団で攻撃してくる2週間ほどの間は、粘着テープを大量に使用し守るようにしているということ。そのお蔭で群れの勢いが衰えるほどにはならないということです。

ちなみに③と④はミツバチを襲いに来たスズメバチ以外の虫も捕獲してしまいます。しかし、⑤と⑥はミツバチを襲いに来たものだけを捕まえるものとなります。

⑦ネットで覆う

セイヨウミツバチを800群飼育する養蜂家の方は、巣箱群すべてをネットで囲っています。スズメバ対策として、100群くらいをひとまとめにしてネットを被せています。ミツバチを守ることができれば良いという考えの為、スズメバを根こそぎ捕ろうとは思っていないようです。また、800群すべてに捕獲器を取り付けることは、費用も手間もかかることから捕獲器は使用していません
高さ2~3m・幅4~5mのパイプハウスの骨組みだけ組み立て、8月10日頃から11月上旬まで、そこにネットを張ります。一般に販売されているビニール系のネットで12㎜のマス目タイプのものを10年ほど使用しているということ。耐久性が抜群なため、使い続けることができているようです。ただし、台風が接近する際は、その都度取り外し、台風が過ぎると再度、設置し直す必要があります。
暑い日はあまり来ないオオスズメバチ。その為、朝5時から9時と夕方4時から6時の間、ネットの周りや中に入ってしまったオオスズメバチを網で捕っていきます。網で捕ったオオスズメバチはハチミツ漬けにします。瓶に3分の1ほどのハチミツを入れて作るのですが、その際、ハチミツが少ないとオオスズメバチが漬からず這い出して来るので非常に危険です。反対に多すぎるとハチミツがあふれてしまいべとべとになってしまいます。こうして作ったものは1年寝かせて販売します。
キイロスズメバチは簡単に入ってしまいますが、オオスズメバチは入ることができない巣箱をネットで覆う方法。しかし、しばらくするとネットをかみ切って、中に入ってくるようになります。しかし、中に入ってきたオオスズメバチは外に出ることができず、上側の隅っこに溜まる習性があり、ネットを壁にし、簡単に捕ることができるようになっています。
この方法の場合、比較的に安くしかも、簡単に行う事ができる上、効果抜群の方法となりますが、どうもセイヨウミツバチに適した方法になってしまうようです。

【参考文献】
藤丸篤夫著『ハチハンドブック』(文一総合出版)
小川原辰雄著『人を襲うハチ』(山と渓谷社)
松浦誠著『人を襲うハチ』(北海道大学図書刊行会)

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