蜂に刺されたら?蜂の種類により生活や行動も様々です

蜂に刺されたら?蜂の種類により生活や行動も様々です

さまざまなハチの生活

ハチは完全変態

完全変態とは、卵で生まれる→幼虫→蛹(さなぎ)→成虫へと変化する事を指します。ハチは、このような成長過程より完全変態の昆虫と言え、他にもカブトムシやハエ、チヨウなどがいます。ただし、この成長過程にかかる期間はハチの中でも様々で、二ホンミツバチの女王バチの場合、約15日間。働きバチで約19日間。クリタマバチの場合、約1年かかると言われています。

ハチの寿命

ハチの寿命は以下のようになります。

●二ホンミツバチ
女王バチ:1~4年
働きバチ:30~60日
●ミツバチ(越冬する場合)
4~5か月(越冬期間込み)
●セイヨウミツバチ
女王バチ:8年

(飼育されている場合)

●フタモンアシナガバチ
女王バチ:1年
●クリタマバチ
7日(成虫になるまでに時間がかかる為)

となり、ハチの寿命は、種によって異なると言えるのです。

社会性と単独性

社会性昆虫と呼ばれる社会性をもつハチがいます。このハチの場合、1つの巣で幼虫を育て子供と共に生活し、人間でいう家族を作ります。一方、社会性を持たないハチもいて、子育てをしない、又は、ある程度までしか子育てをせず、それぞれ別で生活します。
ハチの社会というのは、女王バチを中心に女王バチが産んだ多くの働きバチから形成されています。また、働きバチはすべてメスとなっています。そして、繁殖の時期になるとオスバチが生まれ、交尾を行い新しい巣が形成されます。そして、新しい巣で働きバチが生まれる仕組みとなっているのです。
社会性のあるハチに仲間には、スズメバチ・アシナガバチなどの肉食性とミツバチ・マルハナバチなどの植物食性がいます。

ハチアレルギーのメカニズム

ハチに刺されると死んでしまう事もあるといわれるハチアレルギー。これは、ハチに刺されたすべての人に起こる現象ではなく、ハチに刺された一部の人に起こる現象となります。では、そんなハチアレルギーは、どのような仕組みになっているのかお話したいと思います。

スズメバチに刺された経験を持っている人はご存知だと思いますが、スズメバチに刺されると強い痛みを感じます。それは、激痛といっても過言ではないほどの痛みで、その後、患部が腫れてきます。実際、私がスズメバチに刺された際は、波打つような痛みが6~8時間も続きました。この痛みは刺された箇所によって異なるとも言われ、頭部や指先は痛みが強く出やすいと言われています。

このような痛みの症状だけで終わる人もいれば、「ハチアレルギー」(アナフィラキシーショック)を引き起こしてしまう人もいます。このハチアレルギーは、ハチの毒が体内に入る事で、異物として体が抵抗しようとする事で起こる仕組みとなります。ウイルスや細菌が体内に入った時と同じです。このような異物に抵抗するメカニズムを「免疫」と呼び、これは人間の体にとって、とても大切なものとなります。そして、一度体内に入り異物と判断されたものは記憶され、この記憶を「抗体ができる」と言います。この抗体が一度完成すると次に同じ異物が体内に侵入した際、排除しなければならないと体が判断し、必要以上に攻撃しようとするのです。これが、「ハチアレルギー」(アナフィラキシーショック)なのです。とは言っても、多くの場合、ハチアレルギーを起こす事はなく、痛みや腫れの症状で治まります。

では、ハチアレルギーを引き起こした場合、どのような症状が現れるのでしょうか。一般的に痛みや腫れ以外の症状として、くしゃみや鼻水、じんましんといった症状が現れます。その他にも、より強い症状が出てしまうと呼吸困難や血圧の低下、心臓機能の低下などが現れ、ここまで来ると命に関わる為、すぐに病院に行き適切な治療が必要になります。「スズメバチに二度刺されたら死ぬことがある」と聞いたことはありませんか。そう言われる理由は、このような症状が起きることがある為という事となります。

ハチはこわいか?手強いか?

刺されると痛い思いをするというイメージが強いハチ。そんなハチは、本当にこわい昆虫だと言えるのでしょうか?

危険なハチはどんなハチ?

日本には4000種ほどのハチが生息しています。そのうち、注意しなければいけないハチは20種ほど。この数字を見ればわかるように多くのハチが人間にとって危険なハチではないと言うことが言えるのです。とは言っても、20種の中にはスズメバチのように非常に攻撃性が強いハチもいます。その為、このようなハチには決して近づかないように注意することが大切です。特にまとまって樹液を集めている時や巣の周りなどは危険な為、より注意が必要です。反対に1匹で食べ物を探しているようなときは攻撃性が低いと言われています。
また、スズメバチなどの場合、刺された人間の体質、また、刺された数・場所によっては、毒性が強く命の危険を及ぼす場合がある為、より厳重な注意が必要です。
ただし、ハチは巣や自分自身に危険が及んだ際に防御するために人間を刺します。決して、むやみに刺す事はありません。

刺すのは一度だけ?

ミツバチの仲間の場合、一度刺してしまうと針のある腹部の一部が外れる仕組みになっています。その後、ミツバチは死んでしまうのですが、針には毒のうと呼ばれる毒の入った袋が残る為、そのまま、刺した相手に毒を送り続ける事ができるようになっています。
一方、アシナガバチやスズメバチのような狩りをするハチの場合、一度針を刺しても抜ける事はなく、何度も刺す事が可能です。これは、狩りをする際に針や毒を使うため、何度も使用する事ができるようになっている為となります。

アナフィラキシーショック

ハチの毒にアレルギー反応を持つ人で、一度、ハチに刺され体内に抗体が作られた状態で再びハチに刺されてしまうとアレルギー反応を起こしてしまいます。これが、ハチに刺される最も恐ろしいと言われているアナフィラキシーショックとなります。最悪の場合、死に至る事もあります。テレビなどで「ハチに刺され、死亡した」などといったニュースを耳にした事はないでしょうか?これは、アナフィラキシーショックの事を指すのです。

ここに注意!

ハチは巣に近づかれると巣を守る為、攻撃的になります。その為、巣に近づかない事が一番大切です。夏の終わりから秋にかけ、大きくなるスズメバチやアシナガバチの巣。その為、秋口には攻撃性が強くなる事が考えられる為、山などに出掛ける際には、最善の注意が必要となります。
ハチの特徴として、黒いものや強いにおいに反応するという事がわかっています。その為、帽子をかぶり、髪を隠すほか、黒色の洋服などは避けるように心がけます。また、香水などにも注意し、スズメバチやアシナガバチを見かけた際には、急な動きをせずに静かにその場を立ち去るようにします。スズメバチやアシナガバチは、すばやい動きに反応します。その為、慌てずゆっくりと行動することが大切なのです。
そして、巣が必ずしも山や野原だけにあるとは限りません。住宅地などでも多くに巣が存在します。その為、庭の手入れなどを行う際は、初めに巣がないかなど確認してから行うほか、空き缶などハチが好みそうな甘いものがある場所も注意が必要です。

ハチに刺されたら

ハチに刺された時は、慌てずに背を低くしてその場から離れます。ハチの毒は興奮物質です。群れの1匹が刺すと、それに刺激され他のハチまで襲ってくるかもしれません。その為、その場から離れる必要があるのです。
そして、ハチから離れた後は、水道水などで傷口を綺麗に洗い流します。その際、手で毒をしぼりだすようにするといいでしょう。だからといって、決して口で毒を吸い出すような事はしてはいけません。口の中に傷があった場合、その傷口から毒が体に入ってしまうかも知れない為です。こうした応急処置を行った後は、出来るだけ早く病院に行くようにします。

スズメバチの駆除について

80年代後半から90年代にかけ、多くの自治体でハチの駆除にかかる費用を自治体が負担するという制度が整いました。費用負担の限度額は自治体によって半額程度など異なるものの、市民にとっては有難い制度だったと言えると思います。これは、この頃から飛躍的にスズメバチの駆除件数が増えていったためだと考えられます。しかし、近年では財政難などを理由にこういった駆除の費用負担制度を中止するようになってきました。しかし、これは、本当に正しい判断なのでしょうか。スズメバチの営巣は、住民の責任に関係なく作られるものです。駆除の費用がないからといって放置してしまうと命に係わるかも知れない大きな事件にもなりかねません。だからといって、収入の減少や年金生活者など高齢者が増える中、自費での駆除は非常に大きな負担となります。このような事から、自治体では少しでも駆除に役立ててほしいと防護服の貸し出しを行っているところもあるようですが、これは、決して十分な対応ではないと言えると思います。スズメバチの生態を知らないような素人が無理をして駆除を行うことで二次被害の危険性が非常に高くなってしまうからです。また、真夏の防護服での作業は、想像を絶するものとなる事も忘れてはいけません。

ある日、幼児教育施設からスズメバチで困っているという相談がありました。現場に行ってみると、オオスズメバチに加え、スズメバチも多く飛び交っている状況でした。オオスズメバチを駆除するため、園内にトラップを仕掛けたところ、確かにオオスズメバチを捕まえる事はできたものの、その罠の匂いに誘われ、多くのスズメバチを引き寄せてしまっている状況でした。お話を伺うと専門の駆除業者に巣探しと対策を依頼したものの結局、見つける事ができず、費用だけがかかってしまったということ。対策が行われなかったとしても、出張料や調査料などが発生します。また、巣の大きさや場所などによっても料金は異なります。これは、危険手当や薬剤の量などが関わってくる為、仕方のないことではあるものの、事前の説明を受けていない場合、その料金に驚かされる事になるかも知れません。その為、利用者が安心して依頼できるようなガイドラインが必要になってくるのではないでしょうか。

また、テレビで見るようなスズメバチの巣を駆除する際、巣の外被を壊しハチを外に出した後、薬剤を散布するといった派手なやり方もいかがなものかと思われます。確かにそういった駆除方法はテレビ的には面白いかと思いますが、大量に薬剤を散布したことで、その後、知らずにその薬剤に触れた人の手の皮がむけたという話もあります。そう言った事を考えるとメディアももう少し考えていかなければいけないと言えるのではないでしょうか。

そして、駆除の際は、足場が悪い場合は、足場の確保と安全性の確保が大切で、安全第一での作業が重要になります。駆除を依頼する側にとっても、やはり、二次被害の起きない安全性が重要になると言えるのです。また、例え、どれだけ時間がかかったとしても、火気と殺虫スプレーの併用は厳禁です。これは基本中の基本となります。スズメバチがどれだけ多くても、時間をかけ駆除することで必ず退治することはできます。ハチが無限にいる事はありません。

以上のことから、駆除業者と言うものは、自社独自の方法や知識、経験だけではなく、定期的に専門家の講習を受けるほか、同業者と意見交換などを行い、様々な知識を吸収することが大切だと言えると思います。

ニホンミツバチ

日本に古くから生息し、女王バチを中心とした社会を持つ二ホンミツバチ。日本全国に生息し、住宅地にも多く生息しています。木の裏や根元、屋根裏などにいくつかの巣盤が並んだ巣を作り暮らしています。
花畑などでは、セイヨウミツバチの方が多く生息していますが、見分け方としては色の違いとなり、黒っぽい色をしているのが二ホンミツバチとなります。二ホンミツバチの場合、セイヨウミツバチに比べると攻撃性が少し高いと言われていますが、警戒心が強いうえ、臆病な性格の為、クマに襲われた場合、すぐに巣を守る事を放棄し逃げてしまう事もあります。

ニホンミツバチVSスズメバチ

ミツバチの天敵はオオスズメバチなどスズメバチです。スズメバチはミツバチをエサとします。エサとなったミツバチは肉団子にされ幼虫に食べさせられるのです。
もともとヨーロッパやアフリカに生息していたセイヨウミツバチは、大型のスズメバチが生息していない地域。その為、逃げるという考えはなく、オオスズメバチに果敢にも戦いを挑みます。その結果、まんまとエサにされてしまうのです。
一方、二ホンミツバチの場合、常にオオスズメバチを警戒し生息してきました。その結果、スズメバチと戦う技を編み出したのです。巣を襲うため、偵察にやってきたスズメバチを見つけると二ホンミツバチは集団で襲い掛かり、熱で殺します。偵察にやってくるのは1匹か2匹。その為、二ホンミツバチでも襲う事ができるのです。

ミツバチのひみつ

ミツバチは日本人にとって、非常に身近なハチとなります。では、そんなミツバチには、どのような秘密があるのでしょうか。

花粉や蜜を集めるしくみ

花粉や蜜を集めやすいように働きバチの脚には、花粉ブレスと言われる花粉をつぶして固める事ができる仕組みや花粉かごと言われる花粉を集めておく場所があります。体に花粉が付いた場合は、脚や口で花粉を脚に集めます。また蜜胃と言われる蜜を集めておくタンクが腹部にあります。

ミツバチの成長と女王バチ

ミツバチの場合、女王バチも働きバチなどと同様に同じ巣で生まれます。ただし、特別な部屋(王台)で育てられます。その時、ローヤルゼリーが与えられ、働きバチの場合、3日間なのに対し、女王バチには6日間、このローヤルゼリーが与えられます。これが大きな差となるのです。

六角形のひみつ

正六角形が集まった作りとなっているミツバチやスズメバチの巣。正六角形にする事で隙間なく頑丈なものにすることが可能となります。この構造は蜂の巣を意味するハニカム構造と言い、頑丈で軽いという特徴を生かし、飛行機をはじめとした様々なものに使用されています。

羽ばたきが蜂蜜をつくる

毎秒250回行われると言われているミツバチの羽ばたき。この羽ばたきがあるからこそ、急な方向転換も可能となり、自由自在に飛び回る事が可能となっています。
羽ばたきの役目は、これだけではなく、働きバチが集めた蜜に羽ばたきによって風を送る事で蜜を乾燥させる事ができ、より栄養価の高い甘い蜜にすることができるようにもなっています。

花で変わる蜂蜜の味

蜜源植物と言われるミツバチが蜜を集める植物。ミツバチは、花粉や蜜のある花ならば、どんな花にも飛んでいく為、多くが蜜源植物となります。それらの花によって、香りや蜜の味に違いがあり、その結果、蜂蜜の味も変化します。その為、養蜂家は良い味の蜂蜜が取れるように周りに良い植物を植えるほか、果樹園などに巣箱を運ぶ事もあります。

キアシナガバチ

スズメバチ科に含まれるアシナガバチ。キアシナガバチは、沖縄以外の日本全国の生息し、女王バチと働きバチからなる社会性を持つハチとなります。巣は家の軒下や木の枝などにつり鐘型で作られ、幼虫の入る育房は50~300個ほどで最大800個のものも記録されています。
キアシナガバチの場合、攻撃性は日本に生息するアシナガバチの中では強い方となり、毒性も強くなっています。特に巣を大きくしている時は攻撃性が強い為、注意が必要です。
また、キアシナガバチの見分け方としては、黒に鮮やかな黄色の模様となります。

アシナガバチの多雌巣

複数の女王バチが同居することもあるアシナガバチの巣。このような巣は「多雌巣」と言われます。初めは1匹の女王バチが巣を作るのですが、あとから別の女王バチが巣にやってきて、産卵する形となります。もちろん、すべての女王バチが受け入れられるわけではなく、あとから来た女王バチが追い出される事もあります。

和紙の巣、洋紙の巣

民家など住宅地に巣作りをすることも多いアシナガバチ。秋になれば不要になった巣を手に取り観察することも可能です。その際、驚くことが、その軽さです。まるで和紙のように軽く驚くほどの軽さ。その理由はアシナガバチの場合、巣の材料は植物を細い繊維にしたものとなり、これは和紙の作り方によく似た工法となります。
また、スズメバチの場合は木質の材料を細かく砕き使用するため、パルプが原料となる洋紙に似た感じの巣となっています。

キボシアシナガバチ

黒い体に茶色の模様のあるキボシアシナガバチ。一般的に目にするハチで、平野でも生息しています。巣の特徴は蛹の部屋の蓋が黄色く、木の枝などに作られる点となります。巣の蓋の色から名付けられたとも言われるキボシアシナガバチ。巣は、さほど大きくなく、育房の数は多くても100個ほど。働きバチの数もそれに合わせ20匹ぐらいとなっています。
巣に近づいたりすると興奮し刺す事もある為、巣には近づかないように注意する事が大切です。

アシナガバチの巣作り

秋に羽化した女王バチはオスバチと交尾をした後、越冬します。春になり、越冬から目覚めると女王バチ自身で巣作りを始めます。巣作りの方法は、枯れた木の表面を削り取り唾液を使って団子にした後、それを引き伸ばし作られる方法となります。その後、女王バチは卵を産み、生まれた働きバチが食べ物を幼虫に与え育てます。そうして羽化した働きバチが女王バチの代わりに巣を大きくしたり巣を守る為に監視したり、食べ物の調達を行います。
その後、夏の終わりにオスや女王バチだけが生まれ、また、交尾を行い次に引き継がれていくのです。

アシナガバチの天敵

スズメバチに次ぐ大きさと言えるヒメスズメバチ。名前にヒメが入っていて一見、小さなハチのように思えますが、そのような事はありません。そんなヒメスズメバチの幼虫のエサは、アシナガバチなどの幼虫や蛹となります。巣を襲い、幼虫や蛹を取り出してはその体液を集め、幼虫に与えます。ただし、オオスズメバチなどに比べ、人間への攻撃性はさほど強くありません。

セグロアシナガバチ

平野部で暮らすため、市街地でもよく目にするセグロアシナガバチ。日本のアシナガバチの中で最も大きな種となります。社会性をもつハチで、木の枝や家の軒下などに50~400個ほどの育房のある巣を作ります。そんな巣には、複数の女王バチが一緒に暮らす多雌巣もあります。5月下旬から7月にかけ働きバチが羽化し、7月下旬から9月にオスと新女王バチが羽化します。
名前の通り、全体的に黒っぽく見えるセグロアシナガバチです。

新女王が生まれたら

新しい女王バチとオスバチが誕生した後、秋が深まった頃に新女王バチはオスバチと交尾を行います。その後、新女王バチは冬眠し、越冬します。翌年、冬眠から目覚めた新女王バチは巣を作り始める一方、オスバチや働きバチは越冬することなく死んでしまいます。

アシナガバチの威嚇行動

同じスズメバチ科の中でも、比較的、攻撃性は低いと言われるセグロアシナガバチ。ただし、巣に直接触れるなどすると刺される事もあります。巣に近づいた時、威嚇行動である「ブーン」という音が聞こえた場合、落ち着いてその場から離れるようにしてください。

ハチの翅は4枚?2枚?

ハチの翅は合計4枚。大きな前翅と少し小さい後翅で形成されています。そんな4枚の翅のあるハチですが、飛ぶときは大きな1枚の翅のようにして飛ぶ事ができるようになっています。これは、後翅の前方にフックのようなものがあり、これで前翅をひっかけ、1枚の翅のようにすることができるようになっている為となります。

オオスズメバチ

平野部で暮らすため、市街地でもよく目にするセグロアシナガバチ。日本のアシナガバチの中で最も大きな種となります。社会性をもつハチで、木の枝や家の軒下などに50~400個ほどの育房のある巣を作ります。そんな巣には、複数の女王バチが一緒に暮らす多雌巣もあります。5月下旬から7月にかけ働きバチが羽化し、7月下旬から9月にオスと新女王バチが羽化します。
名前の通り、全体的に黒っぽく見えるセグロアシナガバチです。

気性がはげしいオオスズメバチ

オオスズメバチは非常に気性が激しく、特に巣の発達時期には巣に近づいただけで「カチカチ」と威嚇音を鳴らします。

オオスズメバチの巣

土の中の木の根や木の裏などに巣を作るオオスズメバチ。何層にもなって作られた巣の育房の数は500~7000個ほどあると言われています。

ハチの針は哺乳類対策

スズメバチやミツバチのような社会性を持つハチは、攻撃するために毒や針を使用します。また、このようなハチは1つの巣で多くの幼虫を育て、蜜や花粉を集めます。そうして集められた蜜や幼虫を好物にしているのがクマなどで、そのクマなどに対抗するため、針や毒を発達させていたと言われています。

キイロスズメバチ

黄色い体に黒い模様のあるキイロスズメバチ。北海道に生息するものは黄色が少なく、ケブカスズメバチと言われる亜種となります。巣は様々な場所に作られ、木の裏や土に中のほか、軒先など人家の周りにも作られます。育房の数は日本のハチでは最大級となり、4000から14000個と言われています。
スズメバチによる被害の多くがキイロスズメバチによるものだと言われるほど攻撃的な性質で、最近では生息地域の変化により都市部でも、このキイロスズメバチによる被害が増えてきています。

コガタスズメバチ

オオスズメバチを小さくしたような姿のコガタスズメバチ。大きさ以外の見分け方としては、胸部から腹部にかけ黒くなっている点と大あごの上部の形の違いとなります。また、攻撃性も少し弱めです。
巣は木の枝先に作られる事が多く、初め女王バチが作った巣の形は花瓶をひっくり返したような形で、その後、働きバチが球形の形の巣を作ります。

太陽光発電するスズメバチ

何のためかわかっていないものの、オリエントスズメバチが太陽光発電を行っているという事がわかっています。オリエントスズメバチは、インドから地中海沿岸に生息し、体の茶色の部分で太陽光を吸収し、黄色の部分で発電する仕組みになっています。その為か、オリエントスズメバチの場合、太陽の光が強い時間帯に活発に行動するハチとなります。

クロスズメバチ

スズメバチの仲間であるクロスズメバチは、黒色の体に薄い黄色の模様があるのが特徴です。大きさは小型となり、気性もおとなしい性質のハチとなります。
日本のスズメバチの中では大型の巣を作る傾向のあるクロスズメバチ。土の中や屋根裏に作られる事が多くなっています。そんなクロスズメバチの巣の育房の数は、3000~12000個ほど。女王バチがつり鐘型の巣を作った後、働きバチが球形の巣へと大きくします。幼虫は主にハエやアリ、クモなどをエサとしていますが、時によっては、哺乳類の死骸などもエサになる事があります。

【参考文献】
藤丸篤夫著『ハチハンドブック』(文一総合出版)
小川原辰雄著『人を襲うハチ』(山と渓谷社)
松浦誠著『人を襲うハチ』(北海道大学図書刊行会)

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